遺言書はなぜ必要なのか

みなさん、「終活」といったら何を思い浮かべますか。

葬式の事、お墓の事、財産の事、子供たちの行く末、自分が亡くなった後の事務の事…。人によって、様々な考え、心配事があることでしょう。

「自分が死んだ後の事なんて知らない」とか「宵越しの金は持たない」的な生き方をされている方も中にはおられるかもしれませんが、大半の方はご自分の「その時」を考えるとき、胸にチクリと刺さるような一抹の不安を抱える方が多いでしょう。

しかし、現実では、具体的な終活に取り掛かり準備をしっかりされている方はそう多くないようです。

当職が相談をお受けした中で、遺言書があればなぁ…と非常に残念に感じる事例も少なくありません。ある日、1本の電話がかかってきました。

「亡くなった親戚所有の不動産の名義変更が進まなく困っている。どうしたらよいか?相続人は30人近くおり、3年ほど前から遺産分割協議書に持ち回りで判を押してもらっている。あと一人というところでその方が海外在住で、このコロナ渦の中手続きがストップしてしまった。相続人の大半が高齢であり、そろそろ次の相続も起こりそうだし、認知症が疑われる人も出てきている…」とのこと。相続人の数が30人近くととても多い事、しかも大半が高齢者でまたいつ次の相続が起こってもおかしくない状況です。このまま時間がたち相続人がさらに増えれば収取がつかない状況になります。不動産の名義変更であれば行政書士は立ち入れない領域ですが、相談を受けた時にまず思ったのは、「遺言書さえあればなぁ…」でした。遺言書があればこのような煩雑な手続きを経ることなく、すんなりと、しかももっと短期間で終えられたはずです。

今回の相談では、海外の相続人に何度かコンタクトをとってみる事、それでも難しければ、他の士業を紹介し、裁判所での手続きという方法もあることを伝えました。

みなさん、今回のケースほどでなくとも、残された相続人は遺言書がないと遺産分割などの手続きが必要になり、少なからず苦労をするものです。故人を亡くした悲しみに浸るべき時に、煩雑な事務手続きに追われなければならない…。故人を悼む時間もない…。相続人間でトラブルがあると裁判所での調停手続きにまで発展したりします。そうなってしまうと、気持ちの上でも相手に対して良い感情はもう既に持ち合わせていない状態でしょう。葬式やお墓の事と一緒に、ぜひ、遺言書の作成をし、紛争を事前に防ぎ、残された相続人が出来るだけ苦労せずにいられる方法を考えてみませんか。遺言書の作成は、亡くなる方が、のこされる方にしてあげられる「最後の気遣い」でもあります。

当事務所では、女性行政書士が遺言書の作成サポートをしております。まずはお気軽にお電話ください。